重症片麻痺患者さんの移乗時転倒予防アプローチ

自宅での移乗時に転倒を繰り返す重度左片麻痺の患者さん

ネガティブな要因がたくさんある方に対して
20分/回で何ができるでしょうか?

環境設定?
動作指導?
拘縮予防?
運動負荷?

今回はまだ途中ですが、
施術のみでも良い結果が得られてきている最中なので、
その経過をシェアします。

重度の左片麻痺の方

ネガティブ要素を羅列すると
・座位では麻痺側肩の疼痛が出現し長時間座れない
・睡眠時無呼吸があり、長く寝ても休めた感じがしない
・拘縮が進行しつつあり装具がつけにくくなってきている
・移乗の際に左足接地は困難で、転倒を繰り返している
・歩行訓練は体力的にしんどいので拒否
・自宅で転倒すると、介助力の問題で床で数時間過ごす
という状況。

ポジティブ要素は
・60歳代という年齢
・意識はしっかりされており、
 「動こうとは思ってるけど、思ったように身体が動かせない」
 「歩けるようになりたい」
 との発言もあります。

現実問題としてはネガティブ要素が多く、
負のループから抜け出すことができていませんでした。

このような状況でセラピストとして何ができるでしょうか?

アプローチ 環境設定

 自宅の手すりやベッドなどの位置修正を検討しましたが、
 自由度が乏しく、私の発想では限界がありました。
 変更してもらっても転倒は無くならない…。
 やはり夜間の覚醒の問題や、麻痺側の荷重ができない、廃用の問題が大きいと感じました。

アプローチ 動作指導

 安全な移乗方法指導する方法もあると思います。
 学習も可能な方でしたが、まず環境として難しい状況があり、
 また睡眠の質が不十分ではパフォーマンスは下がります。

 どうしても他の問題がでかすぎると感じます…。

アプローチ 拘縮予防

 麻痺が強く(SIAS motor:2−1C−1−1−0)
 ちょっと触れるだけでも内反尖足、膝屈曲するような共同パターンが出現する状況。
 強いストレッチをしようものならかえって緊張は亢進してしまいます。

 長い期間短縮位であったため、筋節の数自体も減っている状態です。
 その改善には長期間伸長位に保つ必要があると言われていますが、
 私は過去とある運動器疾患の方の尖足をタウメル式装具と徒手にて改善を図ったことがありますが、
 結局改善せずアキレス腱の延長術になった経験がありました💦
「ただ長時間伸長位に保てばいいってものでも無い」のだなと強く記憶に残っています。

 また20分という短い時間全てを拘縮予防アプローチだけに費やすわけにはいきません。

アプローチ 運動負荷

 活動量が低下していると運動負荷を行いたくなりますが、本人は生きているだけで一杯一杯状態。
 その状態に鞭打つには、必ず良くなる確信がお互いにほしいですよね?

 使えていない筋肉を賦活すると筋緊張が緩み、姿勢・動作の改善は得られますが、
 次回にはもとに戻ってしまうという効果の持続に難がある…。

(※これらのアプローチの見解はあくまで私の技量レベルでの解釈です)

そこで
「土台を整える」
という考え方を元にアプローチを検討しました。

土台を整えるアプローチ

介入できる時間は限られているため、
アプローチの方向性は下記3つに絞りました。
 ・睡眠の質向上
 ・緊張亢進の原因を潰す
 ・痛みの原因を潰す

要は、
痛みなく、快適に寝れる
ために、上記3つの要因に対し施術でアプローチし、
徐々にアクティブな内容に変化していければよいかと考えていました。

原因となった部分は全てを書くことはできませんが、
脳が多かったです。

機能低下している部分がかなりありました。
例えば舌運動の検査をしてみてもエラー満載です。
となると脳幹部分の機能低下が疑われますよね。
このように評価をし、施術で機能改善を図ることを続けていきました。

高齢だから
脳卒中だから
という理由だけでなく、
脳の機能が落ちている人はとても多いです。

若い人でもなにかしら症状を抱えている人は運動器に問題があるのではなく、
脳の機能に問題を抱えている人はとても多いです。

20分×3回ほど介入する中で、
下肢の緊張は軽減し、屈曲拘縮は回を経るごとに改善し、
肩の痛みがなくなり離床時間も確保できるようになり、
移乗時も麻痺側の接地がみられるようになりました。

自宅での転倒もなくなり、
ご本人も

最近は思ったように身体が動かせるようになった

とおっしゃっています。


痛みや麻痺などへの直接の対処に追われるのではなく、
「原因がどこにあるのか?」
を評価し介入することで、
 環境設定 
 動作指導
 拘縮予防
 運動負荷
などのアプローチはより効果を発揮するようになると考えています。

同じような症例さんで悩んでいる方は
脳の機能がどうなっているのか?
という視点で評価をしてみると発見があるかも知れません。

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