骨折後の痛みの原因は反対足部にあった症例

骨折の術後、医師からは経過が順調と言われていても、
「なんか痛みが取れない…」
「スッキリしない…」
と患者さんから言われる事はありませんか?

その際に重要なポイントを2点まとめてみましたので、
術後の経過が思わしくないと悩んでいる方の参考になれば幸いです。

左大腿骨頸部骨折術後の女性

術後1年以上経過しているのに痛みが改善しなくて困っているとのこと。
医師の診断としては問題ないと言われていると。

常に大腿外側部を中心に緊張を高めている状態。
背臥位で股関節屈曲は90°も行かずに疼痛発生。

少し歩くだけですぐに痛みが出てしまい困る


ここで私が問題と判断したのは
・術部のケア
・過緊張の原因追求
の2つです。

術部のケア

手術は治療ですが外傷でもあります。

創部周囲の皮膚や筋膜・筋肉だけでなく、
神経や動脈・リンパ・静脈などにも大きな負担がかかります。


循環については試しに下肢に痛みがある方に、
左鎖骨下リンパ節を押してみてください。

おそらく左右で硬さが違う人がいるはずです。
左鎖骨下リンパ節は両下肢のリンパの流れの終着点であるため、
渋滞が起きやすいのです。
左の鎖骨下が硬い方は下肢の循環が滞っている可能性が高いです。

術後のケアのためには
この鎖骨下周囲や、術部周囲脈管の柔軟性が必要ですが、
この症例さんは両方ともかなりガチガチになっていました。

その状況では、
循環状態が悪化

老廃物が蓄積

筋膜などの滑走低下

運動機能低下・疼痛閾値低下

緊張亢進

循環がさらに悪化
というループが繰り返される状況になってしまいます。

対策として
循環状態を改善し、
神経・脈管のリリースを行うことでその場で屈曲制限は改善。

動かしてもらっても痛くない!

経過が長い為、即老廃物を全て除去!
なんて真似はできないので、
引き続き循環を改善するためのマッサージをお伝えしました。


でも歩行すると違和感と痛みはまだ取れない。。。
さて次の問題点へのアプローチです。

過緊張の原因追求

痛みの原因として筋筋膜性疼痛症候群(MPS)がよく挙げられますが、
筋筋膜が緊張してしまう何かしらの原因が存在しているハズです。

その原因は私は
筋骨格系・内臓系・神経系・経絡系・メンタルなどにおいて原因を探していますが、
この方の原因は反対側である右足首周囲の筋骨格系に問題がありました。

立位をとると、
右足部は回内・外転位(too-many-toe sign)
OKCでも同様の傾向でした。
患側である左側の方がきれいな姿勢でした。

そのまま立位で右足首に触れるだけで
左大腿部の緊張は一気に緩和しました。

患者さん自身では

そういえば右足首はなんとなく違和感はあった。
けど反対側だから関係ないって気にしないようにしてたの

とのこと。

アプローチとして
癒着を剥がし
左頭頂葉の機能改善を図り、
感覚入力をすることで疼痛は消失。

患者さんは

希望が見えた!」

と喜んでくださいました。
1ヶ月以上経過しても以前のような痛みは無いとのこと。

まとめ

この症例さんの経過をまとめると

術部の管理が悪かった              
   ↓
代償として反対側下肢に体重をかけ続けた    
   ↓
右足関節が変形
   ↓
右足部の固有感覚情報が不足       
   ↓
体幹機能低下
   ↓
左大腿筋群の過緊張           
   ↓
動作時さらに緊張が亢進
   ↓
痛み出現

このように痛みの原因を探る際には、
反対側の足も視る必要があります。

理由その①〜姿勢・動作分析からの視点〜
解剖学・運動学の運動連鎖より
右足部の異常により骨盤・脊柱のアライメントが崩れることで
反対側である左下肢に力学的な負担を増加させるからです。

理由その②〜神経学からの視点〜
神経の遠心路は同側を支配するものと反対側を支配するものがあります。

右足首からの情報は左脳に行きます。
左脳が支配するのは右の四肢と、左の体幹と言われています。
そして体幹部の状態は四肢の動かし方に大きな影響を及ぼします。

また
神経は情報不足な状況を担保するために筋肉などを緊張する傾向があるので、
触れるなどの何かしらの刺激を入れてあげればすぐに反応がでます。


なので私の意見をざっくりいうと
神経からの視点で考えれば、
・いちいち「右に症状があるから右」というような区別をして考える必要はない
・触れて何かしらの刺激を与えてみて患部の反応をみればいい
と考えています。

運動学などの構造から視る視点はとても有用ですが、
脳・神経の構造から視る視点はもう少し違ったものを与えてくれます。

問題のある部位に原因があることは私の経験上では少ないです。
(明らかに手術などの明確な受傷起点がある場合は別)

特別なテクニックなどなくても視点を広げるだけで
対処できることはとても多いと感じる今日このごろです。

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