不良姿勢が腰痛の原因?

症状や診断名はあくまで結果であり、原因は別の話です。

疾患名別にアプローチが紹介されている本などでは、
疾患に共通する特徴的な問題点をピックアップされているため有効な場合もありますが、
「なんか症状が取り切れない…」と悩んだ経験は誰にでもあると思います。
なぜ本やセミナーの通りにやっても結果に繋がらないのでしょうか?

その答えは評価が不十分だからです。
昔の私は「説明が複雑で読んでられない」と、
評価は適当でアプローチだけを真似し結局結果も出ないという不毛な経験があります(T_T)
やはり評価はとても大切ですね。

ではどうやって評価をしていけばいいのでしょうか?
今回は腰痛の原因探しを例にして昔の自分と今の自分のやり方を整理してみました。
症状の原因追求に悩んでいる方の参考になれば幸いです。

腰痛の原因は腰部脊柱管狭窄症と診断された男性

認知機能の低下があり、
あまり質問が出来なかったので詳細は不明ですが、

痛みは
・部位は両側腰部から殿部。
・痛む姿勢・動作は座位保持時と立ち上がり・歩行時の動き始め。
・寝ている間は楽とのこと。

座位姿勢は
・円背で仙骨座りで体幹回旋位。
・周りの人が姿勢を注意しても一時的で維持できない状態。
・日中ほとんど座位で過ごす

さらに評価すると、
 ●胸腰椎周囲の筋・筋膜は緊張し可動性低下
 ●胸椎・肋骨は屈曲・左回線位で固定
 ●腰椎の屈曲は可能
 ●動作時は脊柱伸展を腰椎で代償
でも、
 ●神経学的所見は陰性
 ●間欠性跛行はない

上記を踏まえ状態を推察すると
腰部脊柱管狭窄症というより、筋筋膜性疼痛症候群のような状態と感じました。

座位では屈曲姿勢で腰背部筋群が遠心性収縮し阻血状態になる。
 ↓
立ち上がり・歩行開始時にはガチガチな腰背部筋群がさらに収縮しさらに阻血状態になる。
 ↓
歩き続ければ、腰椎は伸展で固定されている訳ではないので、
腰背部筋群は収縮と弛緩を繰り返しだんだん疼痛が楽になる。

過去の私の評価・思考

上記をザックリ整理すると下記の様なものに。
<原因>
・姿勢・動作の不良

<原因による影響>
・胸椎・肋骨・骨盤の可動性低下
・筋・筋膜の緊張亢進
・腰椎による代償運動

<その結果>
・座位・歩行開始時の疼痛の出現

<アプローチ>
・可動性改善
・緊張緩和
・胸椎の伸展活動賦活
・アライメント修正のための環境設定

如何でしょう。
説得力を感じますか?
昔の私は構造についてはこのような見方をしてました。

色々と学ぶ中で、
その場で良くなる感触を感じてもらうことや、
良くなるための【正論】をお伝えすることはできても、
結局は本人の意欲や積極性に依存するような介入でした。

しかし、
「一時的にその場で楽になるだけでは意味がない」
「もっと相手の可能性を引き出せないのか?」
「自主トレや意欲がある人はいいけど、その状態にない人の役には立てないのか?」
と葛藤を解決することができませんでした。

高齢であり、且つ認知面の低下もあると、
指導も定着せず、なかなか効果がでず困っているセラピストの方も多いのではないでしょうか?

もちろん意欲や積極性は言うまでもなく大変重要なのですが、
辛い思いをしている人は「そこまで頑張れないよ」っていう人の気持ちもわかるので、
セラピストである自分の課題としてなんとか乗り越えたかったのです。

2023年3月時点での私の評価・思考

そこで評価方法を見直し、
上記で<原因>とした姿勢・動作の不良がなぜ生じたのか?
を考えるようになりました。

すると、
<原因>
・1次呼吸の抑制
・両側脳幹の機能低下

<原因による影響>
・姿勢反射障害
・四肢・体幹の可動性低下
・体幹筋の筋緊張亢進

<その結果>
・座位・歩行開始時の疼痛の出現

<アプローチ>
・左小趾から頭蓋のリリース
・右頸部から脳幹部のリリース
・脳神経のエクササイズを通して脳幹部の賦活

結果としてその場で症状は消失。
1週間後も特に痛みなく、
むしろ姿勢や歩行はさらに良くなっている状態でした。
(自主トレは忘れておられたので実施したのはほぼゼロ)

まとめ

「腰痛の原因が姿勢・動作不良である」
というのはよくある考え方だと思います。

でも、今回はもう一歩踏み込んで
なぜ姿勢・動作不良が起きているのか?
を考えて評価をしていくとより深い原因が出てきました。

このように深堀りする評価ができるようになってから、
「一時的にその場で楽になるだけでは意味がない」
「もっと相手の可能性を引き出せないのか?」
「自主トレや意欲がある人はいいけど、そこまでできる状態にない人の役には立てないのか?」
という葛藤は解消されつつあります。

評価がしっかりできれば治療効果はそれだけで大きく変化します。
そのために今回は2つのオススメがあります。
①なぜ?と自問自答する癖をつける
   姿勢が修正できないなら、
   なぜ修正ができないのか?
   修正するために必要な機能は?と考えていくと視点が広がります。
②「○○(症状)の原因を探す」という意識で相手に触れる
   このような意識を持つ事で同じような触診でも、
   得られる情報がメチャクチャ変わってきます。


触診の感覚も大切ですが、
私はこのような意識・考え方のほうが大切だと考えています。

実際私の触診感覚はいい加減なもんです。
現時点の私よりも感覚が優れている人を沢山見てきました。
経験年数1年目なのに私より全然鋭い人にも最近出会いました(T_T)
そんな私でもできるので皆さんも必ずできるようになります。

是非この2つが参考になれば幸いです。
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