麻痺側足趾の荷重時痛アプローチについて

麻痺のある方の歩行時に麻痺側足趾に痛みを訴えられる患者さんに困っていませんか?
「筋肉のストレッチや関節のモビライゼーション、荷重訓練などをしても効果がイマイチ得られない・・・」
と悩んでいる方も多いのではないでしょうか?

奉身塾のおすすめはまず
脛骨の「重さ」を診ることです。

意外と骨というのは簡単に柔らかくなるし、
痛みの改善にも有効なので大切なアプローチ対象なんですよ。
お悩みのセラピスト、患者さんのお役に立てれば幸いです。

1.荷重時痛とは

1−1.足部の機能

 まず足部の基本的な機能としては以下の3つが挙げられます。
・身体を支持する機能
・力を地面に伝え推進力を得る機能
・地面からの衝撃吸収する機能

1−2.足趾の荷重時痛の発生

 足部の基本的な3つの機能が機能が破綻する。
もしくは3つの機能を超える負荷がかかることで、
力学的負担が増えて疼痛が出るというのが一般的な考え方かと思います。

1−3.荷重時痛生じやすいケース

 骨折や扁平足などの変形などのいわゆる運動器疾患はもちろんのこと、
片麻痺などの脳血管疾患でも生じるケースはとても多いです。

1−4.荷重痛の4つのデメリット

・歩行障害
  痛みを避ける為の歩き方となるため、効率が悪いですし、他の部位まで痛めてしまうこともあります。

・廃用症候群の進行
  「1日に3,000歩以上は歩きましょう」等など数値の是非はさておき、
痛みがあるから歩かないとなると、全身の循環も低下しますし、筋肉も弱くなります。

・炎症ループの発生
  歩くたびにダメージを受けるといつまでも炎症が起き続け、血管が拡張し血流を増やそうとします。 
   ↓
  血管は無理やり拡張された結果、血管から色んな物質が細胞内外に漏れ出すようになります。
   ↓
  一定以上貯まり続けると組織の圧が高まり、血流が足りない状況が生まれてきます。
  そのままだと組織が死んでしまうので、さらに血液を流すために血管拡張作用のある炎症物質が出てくる。
   ↓
  さらに浮腫が強化され・・・とループが続く。

・感染症のリスク
  浮腫が生じている状態は、筋肉や受容器が働きにくくなるだけなく、感染症のリスクも上げてしまいます。例えば爪白癬なんかがある人が浮腫になると蜂窩織炎などのリスクはとても高くなると言われています。
   

1−5.一般的アプローチ

 足部の機能回復のためには評価の元下記のような内容がよく用いられます。
・関節機能の改善(モビライゼーション)
・筋肉の促通(ストレッチ・筋力強化トレーニング)
・足底板の導入(インソール)
専門的な内容は文献などググればいくらでも出てくるのですが、
とても細かい話しが多かったり、
とても高い評価・アプローチの技術が必要だったり、
とても難易度の高いトレーニングだったりするので実用性に欠ける印象があります。
(私にはですが・・・💦)

1−6.麻痺側足趾について

 中枢神経疾患により筋肉が思うように働かせることが難しい麻痺している足の場合は、
上に記載した筋肉の促通を行ってもなかなか効果が得られることはさらに難しいです。


さらに経過の長い方は足趾の変形が進み足趾が重なり合い、指と指のスペースが全然ない人も多いのが現実です。
 

さらにさらに尖足にて装具を使用している場合、踵が高い状態になるので、前足部に体重はどうしてもかかりやすい状態になりがちです。

 そもそも麻痺のない状態の方、中枢神経疾患でない人でも足部の筋群は意識できない人が多く、とても難易度の高いタスクです。

 以上の理由で、なかなか効果を得られず困っている患者さん、セラピストさんが多いのではないでしょうか?

2.基本的な考え方

2−1.整理

 上の「1−2.足趾の荷重時痛の発生」で書いたように、足部の機能が破綻するか、負担が増えるかのどちらかの要素がこの痛みを引き起こしています。
なので基本的には下記の考え方になるかと思います。
 ①どうやって足部の機能を改善するか?
 ②どうやって足部への負担を減らすか?

2−2.戦略① どうやって足部の機能を改善するか?

 麻痺した部位の促通については手技であったり、物理療法であったり、再生医療であったり、装具であったり様々な手段が日夜研究されています。
この内容については機会があればまた書きたいと思いますが、今回は割愛させてください。

2−3.戦略② どうやって足部への負担を減らすか?

 こちらの戦略のほうが比較的カンタンですし、速やかに効果も出るのでこちらの解説を進めていきます。
荷重時痛が出るということは足部の前の方に体重がかかっているということですよね?

立ったまま身体を後ろに傾ければ、足趾は伸展し浮き上がります。
逆に身体を前に傾ければ、足趾にはグッと屈曲方向に力が入ります。

なので、
シンプルに身体が前に寄っている箇所をアプローチするという戦略です。
頭部や麻痺側上肢なんかは歩行時は崩れるように前に出ている患者さんは多いのではないでしょうか?

もしくは、
靴や装具にセラバンドなどの滑り止めなんかを敷いて前方に足がズレないようにするのもいいでしょう。

2−4.具体的アプローチ

 胸を張って姿勢をまっすぐにするというのは戦略①に近い内容なのでまたの機会に。
身体が前に寄っている箇所というのは当然「重い」場所になります。
頭部や肩甲帯なんかも「重さ」があるため、安静姿勢でアプローチするだけでも効果があります。

私のオススメは脛骨を見ることです。
脛骨の役割は体重を支えることです。
当然荷重時痛が出ている人というのは前側に体重がかかりやすい状態であったので、
脛骨も前のほうが「重く」なっています。

脛骨が「重い」?
骨にアプローチ?
と思われる方も見えるかもしれません。
でも、考えてみてください。
骨は本来しなる程度の柔らかさを持っています。
変形性膝関節症の方なんかはとてもわかり易いですが、膝周囲がバンバンに大きくなっていませんか?
これは浮腫で大きくなっているだけではありません。
骨に重さがかかると、放射状に広がるという特性があるんです。
実際膝関節症の方の骨の「重さ」を支えると骨自体が細くなっていきます。

是非とも麻痺側と非麻痺側の脛骨の触った感じを比べてみてください。
コツは考えすぎないことです。
5才児でも分かる感覚なので先入観なしで触れてみてくださいね。

もし「重さ」がある部位が見つかったら、その重さを支えてあげてください。
間違ってもグリグリやらないでくださいね。
長くても3分程度も続けれいれば「重さ」に変化が出てくるはずです。
その後の歩行時の痛みもどうなったか聞いてみてください。

 

3.奉身塾のアプローチ方法

追記:手技以外にとても有効だったアプローチ

麻痺側の爪周りを温水でふやかして、
爪と皮膚の間にある組織をクリーニングしてあげると、
荷重時痛が軽減する人もいます。

老廃物が溜まっていると荷重時に圧が余計にかかってしまうんでしょうね。







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医者にできない治療をするを目標に理学療法士を目指す。 2005年に資格取得以降、給料の大半を勉強に注ぎ込み続ける。 学びの中で、知識・技術よりも大切な思考に気づく。 その内容を臨床で結果を出せず悩むセラピストに向けて情報発信中。