可動域制限と過去の経験

筋肉・筋膜などの身体が硬化すると可動性が制限されます。
ではなぜ筋肉や筋膜が緊張するんでしょうか?
・重力に逆らったり、殴られたりなどの物理的なストレッサーにさらされる。
・炎症が起きるなどの生物学的ストレッサーにさらされる。
・身体に合わない物を飲み込むなどの化学的ストレッサーにさらされる。
他には、
・過去の辛い思い出を思い出すなどの精神的ストレッサーにさらされる。
などがありますね。

今回の症例さんでは過去の外傷経験により可動性低下が起きていたケースをシェアします。

概要の評価

長年の右腰から右下肢にかけての疼痛に悩まされている女性。
診断名としては腰部脊柱管狭窄症。

<右半身>
右半身全体の緊張が亢進しており、
右足関節の背屈角度は5°、左足の方は15°とかなり左右差がありました。
よくつま先を引っ掛けて転びそうになっていたとのこと。

<右膝関節>
前面全体に痛みが安静時からあるとのこと。
筋力を測定するとハムストは弛緩・弱化しており、
大腿四頭筋・大腿筋膜張筋は常に収縮している状態でした。

大腿前面の筋群が収縮し、相反抑制でハムストは弱化している状態。
大腿四頭筋が常に緊張するので膝蓋上嚢も膝蓋下脂肪体も硬くなっている状態。

このような状態になった心当たりを尋ねると、
子供の頃に右足部にひどい外傷を負い、
術後の固定期間も長く、リハビリで苦労したとのこと。
一応はリハビリで日常生活は問題なく送れるようになったものの、

今考えると右足をかばって動いていた気がする

さらに内臓の手術歴もあり、
その術後から本格的に右の腰から足に症状が出始めたとのこと。

考察・アプローチ

過去に外傷で右足部の機能が低下
     ↓
代償のために右半身を緊張させていた
     ↓
手術により体幹機能がさらに低下し
     ↓ 
代償しきれなくなった事で症状出現
と考えると原因は物理的・生物学的ストレッサーが原因と考えるのが妥当な気がします。

でも、
他のストレッサーがないか評価を進めていくと、
最も大きな原因は精神面にある様子でした。
【大きな怪我をした自分の身体への不安】
という内容の精神的ストレッサーが右半身を緊張させている状態でした。

これまでの治療やリハビリで、
物理的・化学的ストレッサーの対処はされていたのでしょうが、
この精神的ストレッサーまではなかなか対応が難しかったので、
無意識に身体が緊張してしまうため症状が取り切れず、
どうしても他の部位でかばってしまう状態になっていたのでしょう。

ということで
精神面のリリースを右第4趾から行うと、
その場で足関節背屈は5°から15°へ改善。

それでも、
長年物理・化学的ストレッサーにさらされ続けたハムストの弱化、膝の違和感は残ったため、
脛骨神経のリリースを右大腿後面から行いハムストの収縮も改善。
膝周囲の軟部組織のリリースを加えて終了。

なにこれ〜?
何やったの?

と患者さんにも変化に驚いてもらえました。

まとめ

バイオメカニクスの観点から評価し治療ができても、
「良くなったけど、まだなんかねぇ」
と言われる事が多く、モヤモヤしていました。
(ただ私が未熟なだけかも知れませんが…)

脳や神経の観点から評価するようになってからは
結果が大きく変わってきました。

もちろんバイオメカニクスの観点も大切なので、
両面の観点から評価・治療ができるように精進を重ねています。

行き詰った時には、
バイオメカニクスの観点からと
神経の観点から評価・治療を整理してみると違った効果が得られるかも知れません。



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