セラピストにとって大切な【考える力】についてご紹介します。
この記事は、
・学んでいるのになぜか結果が出せないと感じている人
・自分の能力が低いと自己嫌悪になっている人
・臨床でどう考えたらいいのか分からない人
の参考になれば幸いです。
臨床でよく話題になる
「そこにエビデンスはあるんか?」
というお話。
「エビデンスにないことは無価値」
という人と、
「エビデンスが大切なのは分かるんだけど…」
という人がいると思います。
このあたりの私なりの解釈を書いてみました。
エビデンスについて今の自分の考えに至る大きなキッカケがありました。
膝痛で何十年と病院に通っているという初対面の患者さんに対して、
良くなってもらおうと運動を指導した結果、
二度と担当してくれるな!
とマジギレされたのです。
運動の内容はいわゆるベーシックでいわゆるエビデンスのある指導をしたのですが、
特に運動によって痛みが出るとかの反応もなかったのですが、
なぜこうなった?
と私自身ブチギレながらも考えさせられる貴重な体験でした。
本題である「エビデンスがあるのか?」には
①科学的根拠
②科学的態度
という2つの視点から考えてみたいと思います。
個人的に臨床場面においては①科学的根拠<②科学的態度という立場です。
科学的根拠について
科学的根拠とは、
・再現性がある
・因果関係がある
この2点がクリアーできれば良さそうです。
再現性はいつ、どこで、誰がやっても同じ結果になる方法論があること
因果関係は状況を分析し、既知の法則から予測・説明すること
ここで注意が必要なのが
「科学は観察や計測が可能なものだけを対象としている」という前提があるということです。
観察・計測不可能なものは割り切って除外し発達してきたのが科学です。
勘やコツ、感覚みたいな観察・計測が不可能なものは排除しないと、再現性や因果関係が破綻してしまいます
臨床においては
言い方は悪いですが、人体を「物」として観察・計測したものが科学的根拠になります。
そして観察・計測できる人体構造は再現性・因果関係が当てはまりやすいので、
運動学・解剖学・生理学などの学問からとても有効な法則や方法論が生まれます。
●●テクニックとか、●グラムの力でテンションをかけて、この部分が大切!
とか色々な方法論がありますよね。
これらは
誰にでもできるように!
よりよい結果が出るように!
という想いの元、先人が積み重ねてきた偉大な武器です。
一方、
実際の人間は単純な「物」の集合体ではありません。
MRIなどの検査でも異常が観察・計測できないけど症状がある患者さんは沢山います。
セラピストの感覚・コツなども観察・計測が難しい分野です。
そのような複雑な条件が臨床現場であるわけなので、
せめて観察・計測可能な【わかっていること】を土台に話を進めていかないと、
科学として発展のしようがありませんよね。
なので、
「裏付けになる論文がある」
「偉い先生が言っていた」と言っても、
その背景には科学的根拠を見出す為、伝える為などの諸々の事情で外している要素が多分にあると思います。話し手と受け手でこの意識があるかないかはとても大きい差を生みます。
一言でまとめると、
・科学的根拠とは「物」を観察・計測可能に限った世界の話であること
なので科学的根拠の有効性と限界を知っておくことが大切だと考えています。
「物」としての人体構造を知っておくことは、セラピストにとっての基本です。
ただし科学的根拠だけに溺れない距離感が大切かと思います。
科学的態度について
科学的根拠よりも個人的にはこちらを大切にしています。
科学的態度について参考になるのが工学博士の森博嗣という方の発言で、
科学的な態度というのは、「思うこと」ではなく、
「出来ること」をやろうとする態度のこと
というものがあります。
森先生の発言を私は、
・【わかっていること】を確実にやる
・その結果として【わかっていること】の領域をさらに広げる
というものが科学的な態度なんだと個人的に解釈しています。
天気予報を例にすると。
予報は外れても、気圧などの情報から【わかっていること】を使って予測する。
当たり外れに関係なく結果を集めて、【わかっていること】を増やし精度を上げる。
つまり臨床で「そこにエビデンスがあるのか?」という質問には
「結果を検証し修正しているか?」
別の言い方をすると
「Plan・Do・Check・Assessment(PDCA)サイクルが回っているか?」
という質問だと思っています。
臨床的にすると
①どこが問題か明確にする(P)
②自分が【わかっていること】でアプローチする(D)
③思い込みで結果を歪めないように観察する(C)
④結果に応じて、自分の【わかっていること】を変化させて①から繰り返す(A)
このような態度ができれいれば、個人的には十分に科学的だと思っています。
【わかっていること】を増やす為には、自力では限界があるので、他の人やセミナー講師に質問してみると良い答えを引き出せると思います。
私も人体構造については、
筋骨格系⇢リンパ系⇢内臓系⇢神経系⇢経絡⇢チャクラ…などなどと順番に、
一歩一歩少しずつ【わかっていること】を増やしてきました。
まとめ
天気予報の例に出したように、
科学的根拠あっても予報は外れます。
外れた結果からどのような法則があるのかを【わかっていく】ので、
その場で結果が出るか出ないかはあまり重要性ではありません。
つまり、
科学的根拠がある=その場でよい結果に結びつくとは限らないので
・実践・検証・アップデート(PDCAサイクル)を意識する。
・「物」である筋骨格系などの構造についての【わかっていること】を増やす
・「物」以外の影響の大きさも【わかっていること】を増やす
という科学的態度こそが大切だと考えています。
先輩に「エビデンスはあるんか?」と言われたら、
自分なりの【わかっていること】を恐れず伝えてみる。
例え批判されたとしても、あなた自身を否定されるわけではありません。
むしろ【わかっていること】を増やせるキッカケです。
自分が持っていない【わかっていること】を頂けたら調べてみてやってみる。
もし自分が「エビデンスはあるんか?」と言いたくなったら、
「どこが問題だとみているの?」
「手応えとしてはどう?」
という形で相手の【わかっていること】を引き出す。
経験年数に限らず、その人にしかできないこと・感じ方が必ずあるので、
常にお互いの【わかっていること】を交換できる関係性でありたいですね。
理学療法士は特に真面目な人が多いので、
お互いの【わかっていること】を意見交換できれば
もっと患者さんも良くなるし、楽しい職場になると思うんですよね。
最後に
誤解を恐れて念のために書きますが、
科学的根拠の重要性については否定するつもりは全くありません。
現代医学によって自分よりも大切な身内の命を救ってもらいました。
感謝してもしきれません。
一生かけて恩返ししていこうと思っています。
私はセラピストとして相手が問題を解決する上で、選択肢を増やし、
最高の選択ができるように日々精進していくことを大事にしています。
追伸
おっと💦
忘れていましたが、
冒頭でマジギレした患者さんはなぜエビデンスある治療でマジギレされたんでしょうね?
同じような経験をした方はいませんか?
もし今回の話で感じるところがあれば教えて頂けると幸いです。
エビデンスと臨床については以上です。
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