情報の整理方法 〜事実・解釈・価値判断〜

セラピストに一番大切な力といっても過言ではない
【考える力】を身につける方法をご紹介します。

この記事は、
・学んでいるのになぜか結果が出せないと感じている人
・自分の能力が低いと自己嫌悪になっている人
・臨床でどう考えたらいいのか分からない人
の参考になれば幸いです。

情報が豊富な時代

最近20代前半の方と話をしていると
自分が如何に脳筋な世代であるかを感じました。

今はSNSなどの情報がとても豊かなので、
物事のコツや考え方などの情報に豊富に触れていて、
「自分の20代の時と比べると物事を知ってるなぁ」
とジェネレーション・ギャップを感じました。

私の学生時代は
情報が少ない時代だったので、
サッカーでのボールの蹴り方一つでも
自分で工夫しなければなりませんでした。
当時頂戴したアドバイスは「ひたすら走れ」でした(笑)

今ならYou Tubeなどでいいアドバイスに一瞬で出会えますよね。
羨ましい限りです。

情報のメリット・デメリット

中世の音楽家が作った曲の中には
当時の技術レベルでは演奏不可能とされていたものがあります。
でも、
今では大学生が演奏できているそうです。

光GENJIのメンバーの方が今のジャニーズは歌もダンスも昔よりすごいとお話をされていました。
昔は100mで10秒を切ることは昔は不可能と言われていたけど今は沢山います。


情報が増えた結果、
パフォーマンスや価値観も変わるんですね。


一方情報が多すぎると、
人はかえって行動できなくなると言われています。
また、求められるものが厳しくなり、
本当に大切なものが見失われる事もあると感じています。

情報が増えてもことで物事が上手くいくならば、幸福な人が増えるはずですが、
実際は年間2万人もの自殺者が続いているのが【事実】です。

我々セラピストも治療の情報に簡単出会えるようになりましたが、
その情報に振り回されている人が多い印象です。
私自身も振り回されてお金も時間もメチャクチャかけてきました💦

今の時代は情報に振り回されない為に、
情報を整理する力が求められていると思っています。

その力を磨かなかったら
「できない自分」のままモヤモヤし続けていたかも知れません。
今回は情報の整理方法について自戒を込めて書いてます。

情報は3つの要素に分解できる

情報は3つの要素が含まれています。
 【事実】:実際の出来事
 【解釈】:出来事をどう捉えるか
 【価値判断】:正解か不正解、良し悪しの判断

論文を例にすると、
 【事実】:研究方法と結果
 【解釈】:考察
 【価値判断】:結論
という形かと思います。

昔は演奏不可能とされていた曲を例えにすると
<昔>
 【事実】:一流のピアニストでも演奏ができない
 【解釈】:技術的に人間には不可能な曲である
 【価値判断】:演奏が難しいので演奏できる人は神!
        機械に任せよう
<今>
 【事実】:大学生でも演奏できる
 【解釈】:技術的にはそこそこの曲である
 【価値判断】:演奏できて当たり前
という形になりますでしょうか。

SNSなどの情報にはこのように
【事実】【解釈】【価値判断】がゴチャゴチャになっていることが多いです。

読み手としてはこの辺を整理することが大切です。
「●●テクニックセミナー!
 再現性100%でどんな症状にも適応できます|」
という広告を見たり、

先輩セラピストから
「膝OAにはこうすればいいんだよ」
という指導を受けたとします。

ここで気をつけなければいけないのは2つあります。
 ①【事実】・【解釈】・【価値判断】を整理する
 ②【事実】がありのままの【事実】ではない

①【事実】・【解釈】・【価値判断】を整理する

3つの要素についてもう少し具体例を挙げると
例①
【事実】:今日の気温は20°
【解釈】:Aさん「結構暖かい」
     Bさん「まだ寒い」
【価値判断】:Aさん「気持ちがいいから出かけたい」
       Bさん「寒いから出かけたくない」

例②
【事実】:Aさん「私は今年40歳です」
【解釈】:Bさん「まだまだ若い」
     Cさん「年が離れすぎてるおっさんだな」
     Dさん「ギャルだな」
【価値判断】:Bさん「この人はエネルギーをくれる人」
       Cさん「この人は関わりにくい人」
       D「お付き合いしたいな」

このように同じ【事実】であろうと、
【解釈】と【価値判断】は一人一人違います。

問題なのは、
例②のCさんの「関わりにくい人」という【価値判断】だけが他の人に伝わる事です。
本当はAさんはいい人である【事実】や【解釈】があるかも知れないのに。

このように情報を取り扱う時には、
【事実】と【解釈】と【価値判断】を整理しないと誤解が生まれやすいのです。

人はハンマーを持つと全てが釘に見えるという言葉があります。
ハンマーという一つの方法や解決策に固執しやすいということですね。
伝え手はこれを意識できている人もいればできていない人もいます。

何でも同じ方法で解決しようとすると、
状況に合わず問題が起きてしまうことがあります。
解決策を考えるには色々な角度から考えることが大切です。

情報に触れるときには
【事実】は?【解釈】は?【価値判断】は?を区別して受け取ることが大切です。

②【事実】がありのままの【事実】ではない

カントという人は
「人間の認識には3種類のフィルターがあり、それを通して世界を「作り」認識する」
と述べていました。

またルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインという人は
「世界の実態を規定しうるのは形式であって、実質的な世界のあり方ではない。
 一言で言うなら対象は無色なのである」
と述べています。


「人は色眼鏡を通してしか物事を認識できない。【事実】はその人次第なんだよ」
と理解しています。

なので
教えてもらう時には
「どんな偉い人でも鵜呑みにしない」
「色々な人の話を聞いてみよう」
くらいの認識でいた方がいいと思っています。

それよりも
・あなたはどんなセラピストになりたいですか?
・どんなセラピストが理想ですか?
・何のためにリハビリサービスを提供していますか?
という【解釈】【価値判断】を大切にしておくべきです。
するとそれに必要な【事実】が集まってきますから。

上記①と②を踏まえ、
広告や、先輩の指導においては
 ・【事実】はどれなのか? 
 ・その人と自分の【解釈】はどうなのか?
 ・その人と自分の【価値判断】はどうか?
を整理しておくと、
頂戴できるものはありがたく頂戴し現場で試す。
今の自分にピンとこないものはとりあえず保留。
といういい距離感で情報を扱う事ができるようになります。

まとめ 

研究や論文、テクニックなど有効な情報が沢山ありますが、
一人一人(講師・受講生・患者)の心身の状態、経験、環境などのバイアスがとても大きい世界です。
1つの治療方法で全てが良くなるわけがありません。

厳しいですが自分なりの【事実】【解釈】【価値判断】で歩いていくしかないのが現実です。
そのために
【価値判断】→【解釈】→【事実】この順番で整理することをおすすめします。
自分を整理することで、相手の言っていることにも惑わされなくなります。

【価値判断】

【価値判断】は目的次第です。
自分がどうしたいのか?
相手がどうしたいのか?
そのことを優先に考えてみましょう。

人は感情の生き物ですが、
一時的な感情で行動すると上手くいくことは残念ながら多くはないです。
より抽象度の高い視点で考えてみると、
【価値判断】は大きく変わると思います。

抽象度についての記事はこちら

私は最近ようやく
「自分がどんなセラピストになりたいのか」
という目的を言語化する事ができる様になりました。

そうすると、
目標達成に必要な情報が集まるようになりました。


あなたはどんなセラピストになりたいですか?

是非教えて頂けると嬉しいです!

【解釈】

【解釈】の仕方は持っている知識に左右されるだけではありません。
環境や状況によって変わります。

苦手だなと思っている人でも、一言「おはよう」と声をかけられるだけで、
アッサリと印象が変わったこととかありませんか?
自分も人も【解釈】は常に変わるものです。
あらゆる【解釈】の可能性を残しておくことが大切です。

特に理学療法士は実習時代にバイザーから
「白でも黒と言われたら黒」という時期を過ごします。
「頭ごなしにこういうものだ」と【解釈】を強要されますが、
これまでに書いてきたとおり、そんな訳ありません。

私はこれまでにであった様々な先輩・セミナー講師で違和感を感じない人は皆無です。
悪口を言っているのではなく、背景が違う人間同士なんだからしょうがないのです。

そんなことも知らないやばいバイザー・先輩に出会ったなら速やかに逃げてください。
こんなマニアックな記事を読めるあなたはそれだけでとてつもない価値があります(笑)

誰にも押し付けず、押し付けられず柔軟な【解釈】を増やしていけるといいですね。

【事実】

偉い先生の治療デモを拝見して、
 どんな条件で、
 どのような結果がでたのか【事実】をみようとする。

偉い先生が
「変化したでしょ?」
と言ってきても分からないなら分からないでいい。

 「は、はい〜💦(よくわからんけど偉い人なんだから言う通りなんだろう)」

なんて合わせる必要は全くありません。
自分にとっての【事実】をみる事が大切です。
【事実】とはあなた1人のものです。

そうしないと【解釈】・【価値判断】までも他人任せになります。

こうなるといくら経験を積んでも、
せっかくセミナーに出てても成長できなくなってしまいます。

「自分にしかできないことがある」ことを信じて情報を整理すると、
スッキリとした気持ちで臨床ができるようになる思っています。

なにかの参考になれば幸いです。
ご覧頂きありがとうございました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

LINE公式アカウントを始めました。
・臨床での知見
・公式LINE登録者限定情報
・セミナー、説明会告知
などを配信させて頂きます。
よろしければご登録お願いいたします。

登録特典として、
【筋骨格系以外のアプローチ ~特殊感覚 視覚編~】
をお送り致します。
 臨床で行き詰まった時に、サッと試せる内容になっております。 
 是非臨床で試してみてください。
特典詳細はこちらから

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

アバター

臨床で苦しむセラピストに向けて、 壁を乗り越える為の5つの力を磨き、 【理論】を【現実の力】にするお手伝いをしています。