運動器機能と脳機能

膝関節痛の改善について
筋骨格系以外の問題があるケースについての反省点です。
もっと速く気づいていればと反省を含めて書きます。

「痛みが改善しないなぁ」と悩んでいるセラピストの参考になれば幸いです。

長年の左膝痛を訴える女性

長年注射やリハビリを受けてきたという女性。

左膝関節前面に痛みがあるのは主に歩行時。
時折安静時にも出現することがある。

歩容の確認をすると、
全身カチコチに緊張させて歩いている。

歩くのを見られると緊張する💦

とおっしゃるがあまりにもひどい緊張具合。
両肩甲骨は挙上位で、体幹の回旋は皆無で、
前額面での重心移動が大きい状態でした。

病態把握 〜運動器機能〜

両下肢ともに内反・屈曲拘縮があり、
南部組織の緊張状態も若干左が強いくらい。
筋出力も全体的に低下している状態でした。

軟部組織が緊張すれば関節がズレてしまい、
摩擦により炎症が起きて疼痛がでます。

一般的にマッサージや筋トレが有効なのは
軟部組織の緊張が緩み関節の位置関係が回復し炎症が起きなくなるからです。


一時的な物理的負担が原因ならば
組織を柔らかくして炎症が落ち着くのを待てばOKです。

でも、
膝の痛みはずっと続いているとのこと。
ならば持続的に起こっている問題が何かしらあるのでしょう。

病態把握 〜脳機能〜

そこで脳機能をチェックしてみると
視覚・小脳など全般的に低下を認めました。
しかも全て左優位に低下状態。

そこで通路を一往復してもらう時に一工夫。
往路時にはなにもせず、
方向転換をされている間に復路時にそっと障害物を置いてみました。

結果、
全く気づかれずその障害物に体当たりしながら歩かれる。

あれ?なんかぶつかった?

と何にぶつかったのか分かっていない様子。
まるで半側空間無視かというような反応でした。

※この方には脳血管疾患と診断された既往はありません。

大腿部筋群を始めとする筋骨格系への介入で改善することはあるでしょうが、
それだけで改善しないのは他に問題があるからです。

この方で言えば

脳機能の低下

周囲の環境の認識低下

緊張を高める防御反応の亢進

筋肉の過緊張状態の継続

膝関節の炎症の発生

という流れがあると思われます。

一般的な組織柔軟性の問題を解決するだけでは
下から2番目までしかアプローチが届かない事になりかねません。
自主トレとして脳機能改善のエクササイズをお伝えしておきました。

実際にこのエクササイズ中で過緊張状態は改善していったので、
これで経過をみようというお話をしてそのセッションは終わりました。

運動器以外を視る重要性

様々な方のお話を聞くと老若男女問わず、

入院中に病気になるわ

とおっしゃる方が多いです。
この言葉の意味はそれぞれあるでしょうが、
私が大切だと思うのは、運動器以外にも視野を広げた介入が必要だと考えています。

入院生活において安静にするのは、
組織の回復のためにも重要ですが、
転倒予防などリスク管理のために強制されることが多々あります。

その場合患部への配慮はしていても、他の要素への配慮はどうでしょうか?
問題部位が回復しても脳機能が低下してしまっては元も子もありません。
実際退院してから認知面が落ちて困るなどとというお話をよく聞きます。

今回の膝痛の症例さんはその後転倒されたと連絡がありました(T_T)
どのような転倒だったのか詳細は不明ですが、
周囲の環境を認識する力が落ちていたので転倒につながってしまった可能性があります。

痛みの改善も大切ですが、
なぜそのような状態になったかを明確にし、


もっと速く対応していれば転倒は防げたかもと反省しています。

この経験を活かし、
症状の背景にある原因について視点を広く視ることを意識付けようと思っています。


私の経験が何かのお役に立てたのなら何よりです。
ご覧頂きありがとうございました。

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臨床で苦しむセラピストに向けて、 壁を乗り越える為の5つの力を磨き、 【理論】を【現実の力】にするお手伝いをしています。