階段を降りるのが怖い症例という症例

階段の降段というのは、
力学的には遠心性収縮を強いられるので、昇段よりも難しい動作です。

でも「階段を降りるのが怖い」という理由は力学的な問題だけでしょうか?
私は力学的観点だけで考えるのは不十分と考えています。

今回はその考える要素をシェアできればと思っています。

階段を昇段は怖くないけど、降段は怖いという症例

日常生活動作で下肢に痛みがあった症例さん
(特に病名はついていません)

立位でも下肢筋群は高緊張状態で、
体幹部も緊張させて固定する傾向の強い方でした。
動作全般が努力的なのであちこちが
MPS(筋筋膜性疼痛症候群)のような状態と思われました。

階段について昇段自体は大きな問題はありませんが、
降段時には下肢が緊張してスムーズに足が出ない反応が見て取れました。

全身の過緊張を軽減していく中で
下肢の痛みはなくなり、
30分以上早歩きも問題なく可能となりました。

しかし、

階段を降りるのは怖い💦

というのは変わりませんでした。

力学的な面に問題がないと仮定するならば、
どのような問題があるのでしょうか?

小脳機能から診てみた

小脳機能が低下すると、協調的な運動ができなくなります。
またフィードフォワード・フィードバック・記憶の問題も起きてきます。

この面を見てみても特に問題はありませんでした。

両側の片足立ちは1分以上実施可能になっており、その他の協調運動も可能でした。

この症例さんの場合は小脳は問題なさそうだと判断しました。

視覚から診てみた

視覚については特に眼球運動に問題はなく、
視点の変化に伴う身体の緊張も特に変化がない状態でした。

どうも視覚機能についても問題はなさそうです。

感情から診てみた

少し視点を変えて、
イメージをしてもらうことで反応を診てみました。

昇段動作を頭の中でイメージしてもらうと、
身体は特に緊張することはありませんでした。

一方、
降段動作を頭の中でイメージしてもらうと、
途端に全身の緊張が亢進する反応が見て取れました。

本人も気づけたようで

あれ?なんか変な力が入ってるね💦

という感じでした。

どうやら降段に対してのイメージが緊張を引き起こし
パフォーマンスを下げている状態のようですね。

アプローチ

脳へのリリースを行うことで、
イメージしてもらっても緊張が亢進する反応はなくなり、
実際の降段時も

さっきと違って安心して力が抜ける感じ♫

とのこと。

1週間後に確認しても、
家の階段の怖さが減ってきてるとのお言葉を頂きました。

まとめ

筋力強化をすることで良くなる人もいるでしょう。
小脳機能を良くすることでよくなる人もいるでしょう。
視覚を修正することで良くなる人もいるでしょう。
その他の要素として、
イメージもパフォーマンスに大きく影響することが体験させてもらえた症例さんでした。

このような方は老若男女問わず、
かなりいらっしゃる印象です。

他の症例さんでも、
歩こうとすると全身が緊張する方とかに、
イメージを用いてアプローチするとかなり緊張が抜ける方も多いです。

身体への物理的な刺激以外でも、
人はちゃんと変わるんですね。


このように日常生活動作においても
筋力・小脳・視覚・感情などなど様々な要素が絡み合っています。

筋肉をストレッチしたり、揉んだりするだけではなかなか改善しない場合は
少し視点を変えてみることをオススメ致します。

参考になれば幸いです。
ご覧いただきありがとうございました!

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臨床で苦しむセラピストに向けて、 壁を乗り越える為の5つの力を磨き、 【理論】を【現実の力】にするお手伝いをしています。