腰部の過緊張と指パッチン

筋肉の緊張を緩ませるためには、
ストレッチや、筋膜リリースであったり、
ドレナージであったり、相反抑制であったり、
様々な方法があるかと思います。

それらの方法論には根拠があり、とても大切なものですが、
それらよりもこれらのテクニックをどのように用いるか?
という点の方が重要です。

私のオススメは、
一つのテクニックを極めるよりも、
様々なテクニックを浅〜く、広〜く触れて、
どこに、どうやって、どれくらいの時間用いるのか?
を考えることが比較にならないくらい重要と考えています。

今回は聴覚への刺激が効果のあった事例についてシェアします。
評価の参考になれば幸いです。

布団に触れるだけで痛みが出てしまう腰痛

仙骨周囲に安静時痛・動作時痛ともに出現する80歳代の女性
夜寝るときに腰が布団に触れるだけでもさらに痛みが増強する。
とても辛い状況ですね💦

診断名は腰部脊柱管狭窄症とのことで、
診断されてからかなり長い期間症状が続いているとのことでした。

評価

筋緊張:
 腰背部筋群の緊張は全体的に高緊張(左優位)
    
MMT:
 体幹・下肢全般的に筋力低下(左優位)

感覚:
 表在・深部ともに低下(左優位)
左腰部から足部は感覚がかなり低下している様子で、

左は触れられているのがわからない

 とのこと。

反射:
 DTR:Quad・Achillesともに減弱
 バビンスキー反射:陰性

動作:
 動作全般的に自力で遂行可能ではあるが、
 逃避的に右側に体重を乗せるようにしながら 
 ゆっくりと四肢を緊張させて動く。
 歩行時も前傾姿勢で支持物がないとステップできない状況。

上記より、
末梢神経に問題があると考えてもいい状況でした。


アプローチ

末梢神経の負担を軽減するために、
頭部と足部より、両側の脛骨神経・硬膜のリリースを10分程行いました。
結果痛みは開始時を10とすると、10⇢5へと軽減しました。

リリースしても硬膜や脛骨神経の硬さが取り切れなかったので、
他の問題があるのではと再度評価をすることにしました。

再評価

神経系のエラーを評価すると、脳神経の機能に問題を発見。
第8脳神経の左でした。

この第8神経は中脳の下丘を経由します。
この下丘には体性感覚も入力される部分でもあります。

脳幹部のエラーを抱えている人はとても多く、
リハビリを受けても改善が乏しかったとして私が関わる人はかなりの確率で問題を抱えている箇所でもあります。

その他の脳神経も異常が散見されたので、
脳幹機能自体がかなり低下していると考え、脳幹自体へのアプローチをやってみることに。

再アプローチ

左の第8脳神経の異常が一番強かったので、
その場で左耳の近くで私が指パッチンをして、
患者さんには耳をすましてもらうようにしました。

5秒ほど聞いてもらっただけで、
腰背部の緊張はかなり軽減し、
疼痛は開始時を10とすると、2となりました。

一週間後にお会いしたときには、
痛みはゼロではないものの

だいぶ良くなって両手を離して歩けるし、洗濯物が干せたわ!」

と嬉しいお言葉を聞かれてくれました♫


まだ左腰から下肢の感覚鈍麻があるので、
その日の2回目のセッションは感覚改善を中心に介入し、
ほぼ左右差がない状態にまで改善。

この際にもまだ第8脳神経の異常は残っていたので継続して
左耳から音を聞くようにお伝えをしておきました。

一度にすべての症状を改善させるのは無理だと感じています。
相手のペースに合わせて一番不安を感じている部分に介入をしていければ
確実に前に進んでいけると最近よく感じます。

まとめ

問題となるものは大別すると2種類あると思っています。
浅い問題と深い問題です。

この見分けをする為にしっかりとした評価が大切です。

今回の場合は筋緊張から判断すると、
末梢神経の問題は浅い問題。
第8脳神経の方が深い問題であったと考えています。

症状・疾患名にとらわれず
視点を広げて評価をしてみるのがオススメです。

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2 件のコメント

  • 先日もありがとうございました。
    翌日はすごくよくなった感じがしたということですが、日毎に戻っていくような感じもあり、アプローチの方法をさらに検討していきたいと思います。
    施術の参考になることが多く、膝裏の緊張と腰痛の改善の関係はかなりクリアにわかってきました。

    施術をしていく上で、技よりも「見立て」が大変重要ですね。評価の仕方をどれだけ持っているかは大きいなぁと前回改めて感じました。

    どうしても感覚で捉えていくのが多いので、努力して知識を増やし、理論的に施術できるようにしていきたいと思います。その方が受ける側も納得感が強いですし。

    また、よろしくお願いいたします。

    • 「技」よりも大切なのは「評価」という間違いないと思います。
      色んな「技」を学ぶ中で、それぞれが大切にしている「評価」の元を自分なりに解釈することで勝手に「技」は変わってきました。
      ホリさんも既にたくさん学ばれているので、ぜひとも情報交換したいです。
      今後ともよろしくお願い申し上げます!

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